名作と呼ばれるチェアは世に数えきれないほど存在しています。
その中でも置いておくだけでもうっとりしてしまうようなデザイン、且つ業界内でも “一脚でも欲しい・飾りたいデザイン!” とよく話が上がるチェアを忖度なく厳選してお届けいたします。
高価なお買い物でもありますが末永く愛用できる、とびっきりの相棒が見つかると嬉しいです。
名作チェアとは?
いわゆる名作と呼ばれるチェアはデザイナーズ家具として扱われています。
流行に流されることなくデザインされた唯一無二のチェアは時代を超えて人々から愛され続けます。
多くの名作チェアは50年以上も前にデザインされていて、半世紀以上も前のデザインが現代でも色褪せないって凄いことですよね。
人気であるが故に正規品・リプロダクト品とが存在するので、違いについても理解しておきましょう。
正規品
正規の製造・販売ライセンスを得ている家具メーカーが正規品を販売しています。
本物の品質・保証がしっかりとしているので安心して購入・使用することができます。
価格も高額(数万以上〜)ですが、熟練した職人によって施された美しい仕上げや造りは別格です。
リプロダクト品
正規メーカー以外が製造した商品がリプロダクト品として扱われます。
意匠権が切れると正規品でなくとも製造・販売ができてしまう面があるのですが、
長年の開発を経て高い技術力を駆使した正規品とは異なった材質・品質・製造方法となり、
その代わりに価格は少額から購入できることも可能です。
デザイナー別 一生物ダイニングチェア
厳選しすぎた、デザイナー別チェアを紹介していきます。
デザイナーのバックグラウンドを知ると、椅子のストーリーを楽しむことができます。
ハンス・J・ウェグナー (1914-2007)
椅子の巨匠としても知られるデンマークの「超」がつく有名デザイナーです。
生涯で何と500脚以上の椅子をデザインしたと言われています。(計算すると年間10脚程?!)
デザインする際ウェグナー氏は最小限のところまで無駄を削ぎ落とし、シンプル・機能的面を追求していたようです。
数々のデザイン賞を受賞し、また世界各国の有名美術館にもコレクションされています。
Yチェア
photo:https://www.carlhansen.com/ja-jp
【価格】¥91,300(税込)~ ※材質・カラーによって価格が異なります。
世界一売れたチェアと言われている世界的名作チェアです。
1949年にCarl Hansen&Son(カール・ハンセン&サン)の為に作られたチェアの一つです。
多くの建築家や設計士の方も住宅に使用される方が多く、背もたれとアームを一体化しており背が抜けていることによって、空間に圧迫感を出さず日本家屋にも合わせやすいデザインで人気が高いです。
座り心地もさることながら、無駄を削ぎ落とされたデザインで飽きがくることなく、長く愛用することができます。手作業で丁寧に織り込まれている座面のペーパーコードは、とても頑丈で汚れに強く、経年変化によって座る人の形に馴染んでくれます。素敵ですよね。
photo:https://www.carlhansen.com/ja-jp
Carl Hansen&Son社が掲載している正規取扱店
・ACTUS
・ザ・コンランショップ
・三越伊勢丹
・大塚家具
etc
ピエール・ジャンヌレ(1896-1967)
スイスの有名建築家。近代建築三大巨匠の一人でもあるル・コルビュジエの従兄弟にあたり、重要パートナーでもありました。
シャルロット・ペリアンと共に3人で、LCシリーズというカッシーナ社で最も有名な歴史的家具のデザインも手がけていました。
1950年代にコルビュジエ氏と共にインド北部にあるチャンディガール都市計画に参加することになります。
都市計画は都市だけでなく、建築物や家具までもデザインする壮大な計画で、数々のモダンな建築を作り上げ、その中でもジャンヌレ氏はチャンディガールの家具デザインに置いて需要な役割を担ったと言われています。
PH28
photo:https://pierrejeanneret.jp/product/ph28/
【価格】¥473,000(税込)~ ※材質・カラーによって価格が異なります。
チャンディガール都市計画にて、行政施設の為にデザインされたオフィスチェア(オフィスだなんて贅沢・・・)を復刻したものです。
世界中で数多く復刻はされていますが、当時の手法をそのまま継承し、素材やクオリティーを忠実に再現しているのが、2013年設立されたインドのバンガロールにある工房、ファントム・ハンズ社です。日本で唯一ファントム・ハンズ社の製品を購入することができるのが51%という家具メーカーです。
またジャンヌレ氏と関わりが深いカッシーナ社は意匠継承者の合意の元、インスパイアーされたオマージュ製品を取り扱っています。質が高くよりモダン寄りにデザインされています。
photo:https://www.cassina-ixc.jp/shop/
・51% (Project Chandigarh)
・Cassina ixc.
ジョヴァンニ(通称:ジオ)・ポンティ(1891-1979)
イタリアの名建築家兼デザイナー。ヨーロッパでのパイオニアとも言われているイタリアの高層ビル「ピレリ・ビル」や、世界一軽量な椅子スーパーレージェーラを手掛けたりと歴史にその名を残しています。
イタリアで最も有名な陶磁器「リチャード・ジノリ」のアートディレクター就任や、晩年には彼の母校でもあるミラノ工科大学建築学部の教授を務めたりと、生涯前線で活躍し続けた人物です。
699 SUPERLEGGERA(スーパーレジェーラ)
photo:https://www.cassina-ixc.jp/
【価格】¥330,000(税込)/籐張タイプ~ ※材質・カラーによって価格が異なります。
建築家の間で特に人気の高い名作チェアです。
5年という長い年月を経て作られ、1700gという指一本でも持つことができる超軽量な椅子にも関わらず強度も兼ね備えていると言われています。無駄を極限まで削ぎ落とし華奢なフレームと座面で構成されています。
写真モデルタイプは座面が籐張で熟練した職人によって手作業で編み込まれています。
経年変化によって移り変わっていく籐が、アメ色に変化していくのはもうたまりません。
ダイニングシーンだけでなく、玄関やホールに飾っておきたいような素敵な椅子です。
photo:https://www.cassina-ixc.jp/
マルセル・ブロイヤー(1902-1981)
ハンガリー出身の建築兼デザイナー。
第一次世界大戦後ドイツで設立された美術学校「バウハウス」(世界的超有名学校です)の創設者の教え子でもあり、第一期生でした。
自転車ハンドルのパイプから着想を得て、スチールパイプを曲げてデザインされたチェア「ワシリーチェア」が彼の最も有名な作品です。
Cesca Chair(チェスカチェア)
【価格】¥148,500(税込) ※材質によって価格が異なります。
バウハウスで代表的なチェアです。職人技によって一本のスチールパイプで成形されたフレームは接合部分がなく、とても美しい仕上がりになっています。
背・座面は籐張で、スチール×籐と斬新的な組み合わせをしているデザインです。
現在でも人気が高く、住宅や商業施設等様々なシーンで活躍しています。
photo:https://www.conranshop.jp/
へーリット・トーマス・リートフェルト(1888-1964)
20世紀を代表するオランダの建築家兼デザイナー。
ユネスコ文化遺産にも登録されたシュローダー邸が彼の建築家としての代表作です。
元々は家具職人でもあった父の元で修行を重ねたそうです。
現在でも人気が高いレッド&ブルーチェアやジグザグチェアを手掛け、彼の作品は芸術性が高く当時から注目されていました。
ZIG-ZAG(ジグザグ)
photo:https://www.cassina-ixc.jp/
【価格】¥385,000(税込)
1934年に作られた作品です。通常4本脚で成る椅子をZ型にしたことから「椅子の「究極の椅子の形」と言われています。一見すぐ壊れてしまいそうですが、頑丈にできている構造の秘密は、4枚の板の組継ぎを隅木で補強をされており、釘などの金属部品は使用されていません。(昔の日本家屋のような技術ですね!)
リートフェルト氏らしく、カラーバリエーションも豊富で、ブルー・レッド・イエロー・ホワイト・ブラック・ナチュラルと遊び心も満載です。ニューヨーク近代美術館では永久展示品として認定されている名作チェアです。
photo:https://www.cassina-ixc.jp/
まとめ
以上、飾ってしまいたくなるような名作チェアの紹介をさせていただきました。
『価値があるチェア』というのは年を追うごとに変化を楽しめて、一生付き合っていきたいと思わせてくれるような存在だと思います。
お気に入りのチェアを少しづつ揃えて、ダイニングに全て違うデザインを並べるのもおすすです。
生涯共にしたい、そんな素敵なチェアに出会えることを願っています。
今回もご一読いただきありがとうございました!